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 猛暑の今夏でありましたが、この7月から拝命いたしました『副議長』の職務を全うすべく、8月中も様々な会合に出席するため走り回っておりました。
さて、私のホームページがようやく立ち上がり、これから私の議会での活動の報告や、日頃色々な場面でお仕事をさせていただく中で自身の感じるところをランダムに述べさせていただくコラムとして『Yaccoのおもい』を掲載いたします。ご一読いただければ幸いです。

 何故かあまり大きく報じられないのですが(これはきっと時節柄アテネオリンピックの報道と重なっていたからだと思います)、全国の知事が集まって様々な議論がなされる「全国知事会」が先頃開催されました。小泉内閣を擁する政府に対し、地方に税源移譲することを要求する要望書を提出するために開催されたものでありました。これを全国知事会会長=岐阜県梶原知事は『闘う知事会』とネーミングしています。
 この中で、私が自身のライフワークとして絡んでおり、座して見逃す訳には行かない問題として、「義務教育費国庫負担制度廃止」というのが『闘う知事会』の提案にありました。
 公立中学校、公立小学校と数期に分け、国庫による補助金を廃止し、税源移譲を受ける中で、将来、地方が独自に義務教育を担っていこうという話です。
 聞こえは良いかも知れません。しかし、義務教育は国が担うべきものとして、全国どこにおいても同様の水準が確保され、『教育は国家の大事』という考え方でこれまでやって来ました。
 ところがこの提案では、予算としては一般財源化され、その使途についての権限は地方行政の長=知事(細かくは市長・町長・村長)に委ねられるといったことにしようというもので、それにほとんどの知事が賛成してしまったのです。
 表現は良くありませんが、教育に関心の低い知事あるいは市長のいる自治体では教育予算が激減するかもしれない…という危惧が起こる訳です。
 当初反対の意を表していた東京都石原知事や長崎県金子知事、鳥取県片山知事が挙手採決段階で賛成に転じたり、賛成であった長野県田中知事が途中で反対に転じ、採決では愛媛県加戸知事ら6名と共に反対に挙手、と各氏思惑が交錯しているように報じられ、各々の真意が計り知れない様相を呈しています。
 結局政府には、知事案として「反対意見も付記することを条件に、義務教育費国庫負担制度廃止に賛成多数」として提出されることになりました。(闘う知事会が政府を相手取って教育においても税源移譲を迫る!という出来試合。その方が政府としても地方に補助金を支払わずに済みますからね)
 しかし、賛成者の正直な思いは「3兆円の現ナマを移譲によって戴くというのは千載一隅のチャンス(大阪府太田知事談)」に象徴されるように、要はお金の話が先にありきで、教育の話は二の次の感が免れません。
 先立つものがなければ何の議論も出来ないとはいえ、これで果たしてよいのでしょうか? 
 教育についての本質的な議論がなされないままに話が進むことがあってはならないと思います。この点で知事会の結論は少々性急に過ぎはしないでしょうか?
 こと教育に関しては人が人を創る尊い作業であるし、同時に非常にナイーブな問題でもあります。もっともっとよく議論をしてから採決を採るべきであると思いますが、如何でしょうか?
 知事会での話は遠からず、我が尼崎市にも関わってくる問題です。
 知事会の提案には文部科学省では真っ向反対しているし、小泉首相のバックボーンである森派が税源移譲に反対していますので、まだまだ予断は許されないという状況ともいえますが、教育にたずさわる者として、この問題を注視し、機会ある毎に私の思いを発信していきたいと思います。

                              平成16年8月31日

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